2019年11月19日 (火)

FlightGearの機体開発#6:canopyの作成

後まわしにしたfuselageの形状作り込みを行ないます。

・キャノピー部の切り出し
胴体意匠面よりキャノピーに必要な面を選択して複製します。
複製した面をキャノピー側面図の外形に沿って点を移動します。
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意匠面から生成した各部の形状は別オブジェクトに分離。
最後に本体部分を作成。不要な面を切り取り、先に作ったキャノピー等の面を
利用して点位置を合わせていきます。
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ここまで作れたら、各部をミラーコピーして機体全体の形状をチェック。

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この時点で左右を結合するのはまだ早いです。blenderでは滑らかに見える面も
Flightgear上で表示すると面折れが顕著に現れて修正する必要があるからです。

2019年11月16日 (土)

FlightGearの機体開発#5:wingの作成

・グリル部の作成
fuselageの先端部分であるグリル部は押し出し面による作成ではなかなか思う
ような形になりません。このような箇所は別面を追加して成型していきます。
立方体を細分化して点をひとつひとつ移動させます。その場合でもfuselageの
時のようなメッシュ構造(くもの巣のような網目構造)を意識して作成します。
このメッシュを四角形になるように作成すると面の曲率連続性が良くなりキレイ
な表面になるので、極力三角形を減らすように処理していきます。

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・主翼の作成
fuselageの細かい部分は後にして先に翼を作成していきます。
主翼は翼断面形状(翼型)を面作成したあと押し出しで徐々に変形させて作成
していきます。FA-200は直線翼で翼形変化もないので楽に作成できます。
図面参考に上半角を付けて押し出ししてしまうと面編集作業が面倒になるので
Y軸水平状態で押し出し作成し、翼が完成してから上半角で配置するようにします。
面構成はフラップやエルロンも考慮してあとで分割し易いようにします。

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翼で結構悩まされるのが翼端部。グリル同様にこの部分は別面で作成します。

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エルロンやフラップは主翼全体が完成したあと別オブジェクトへ分離します。
分割によって不足する各翼のコバに面を張ります。

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尾翼も主翼同様に作成していきます。

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大まかな機体形状が完成しました。

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2019年11月13日 (水)

FlightGearの機体開発#4:fuselageの作成

3面図の配置ができたら早速fuselage(胴体)のモデリングしていきます。

・意匠面
機体には多くのパーツがあり、そのひとつひとつを細かく作成するほどリアルなものが完成
しますが、まずは機体全体のかたちを整えたうえで造り込んで行くようにします。
機体表面形状としてなめらかに整えられた面を意匠面といい、各部品を作るうえでの基準と
することができます。

・意匠面の作成
①Blendeの3Dビューの中心に36角の円柱(シリンダ)を作成します。
②これをY軸で90度回転させ、X軸(前後)方向に寝かした状態にします。
③寝かした円柱をX軸で5度回転させることで左右分割しやすい面構成になります。
④円柱の上下高さが側面図の胴体の外形線と同じになるように拡大します。
⑤大抵の航空機は左右対称なので片側のみ作成して対称コピーします。円柱中心がX軸上に
 あることを確認したら右半分の円柱面は削除します。
⑥円柱面前側の頂点と最下点を側面図の機体外形に合わせ移動します。
⑦続いて円柱面前側の最外点を平面図の胴体外形線に合わせます。
⑧頂点~最外点~最下点の面を前面図を参考に移動し、なめらかな面を作成します。
 このとき金太郎飴のような機体断面図があるとモデル精度が増します。無ければ
 画像を参考にします。慣れてくるとパネルラインの見え方で判断できます。
⑨円柱面前側が機体の断面形状にすることができたら後側も断面形状にします。
⑩円柱面が機体形状の一区画として完成したら面を押し出して⑦⑧を行ないます。

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最初は形状の判りやすいパネルラインや機体分割線を目安に押し出しして大まかな
形状で作成し、徐々に輪切り分割して調整していくと早くきれいな面ができます。

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2019年11月10日 (日)

FlightGearの機体開発#3:Blenderでモデリング

これまで事前準備的な話ばかりでしたが、ようやく本編に入ります。

機体開発は機体形状である3Dモデルと飛行特性となるフライトデータモデル(以下FDM)の
2つを作成していくことになります。FDMは多くの座標指示が必要となるため、手順としては
3Dモデルを作成してからFDMを作成していくことになります。

・Blenderを使う
3DモデルはモデリングソフトAC3Dで生成される.ac拡張子のファイルですので、このファイルが
編集できるソフトが必要になります。私自身はBlender4.9bをいまだ使っています。.acファイルがAdd-onなしで読み込めるバージョンであること、何より使い慣れていて特に困ってないためです。
但し、Blenderが.acファイルを読み込めるといっても完全に互換性があるわけではないことに注意
が必要です。以下の3点は知っておきましょう。

(1)Blenderのオブジェクト名は21文字まで。元の.acファイルがそれ以上の場合は変更される。
(2)インポートしたデータの一部の面が表裏逆転する場合がある。
(3)オブジェクトの座標系がバラバラになる場合がある。

既存の機体をBrenderで編集→エクスポートした後Flightgearで表示やアニメーションが異常に
なるのは主にこれが原因です。

・3面図を配置
Blender上の3軸はX軸=前(-方向)後(+方向)、Y軸=左右、Z軸=上下となります。
まずは側面図配置の手順です。

①ZX平面上に全長×全高の長方形サーフェスを作成します。
 FA-200の全長はスピナ先端から尾翼後端まで7.980m
 全高は主脚の接地面から尾翼上端(FA-200は衝突防止灯上端)までの2.590mとなります。

②サーフェスに3面図画像の側面図部分をテクスチャ設定します。
 UV展開して拡縮(縦横比を変えない)でテクスチャ位置を全長×全高で収まるように
 調整します。

③Blenderの座標原点のX軸がテクスチャのプロペラ中心軸と同一なるようにサーフェスを移動。

④座標原点(Y軸とZ軸交点)が機体重心付近になるようにサーフェスを移動して配置。

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⑤続いて上面図を全長×全幅(9.420m)で同様に配置。前面図も全幅×全高で同様配置する。

⑥各図の整合を確認。3面図にパネルラインがあると拡縮調整の基準として使える。

⑦これで3面図配置完了。モデリングは左半分作成した後で右側へ対称移動させるので
 下図のように左半分でも可。
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・Blender原点と機体重心について
Blenderの原点が飛行特性としての重心位置になる訳ではありません。重心位置は様々な
重量配分から演算されて常に変動します。Flightgear上で原点位置が影響するのはビューの
中心となることです。今回X軸をプロペラ軸としたのはプロペラのモデリングを容易にする
ためであり、原点を重心近くにしたのは重心調整でバラスト位置を入力する際に都合が良い
ためです。

2019年11月 7日 (木)

FlightGearの機体開発#2:機体資料の収集

FlightGear機体開発について順に追って連載しています。よろしくお願いします。

#2 機体資料の収集
・とにかく情報収集
FA-200を作成することに決定しました。そこでまず始めることは出来る限りの情報を
集めることです。用意したい資料は以下のとおり。
・諸元表
・三面視図
・コクピット写真
・透視図
・飛行特性について語られた文面
・離着陸時の動画
実機が見れる航空祭や航空イベントでは見えにくいところを撮りまくります。

諸元表・・・エンジン出力や飛行速度、全長、全幅など基本情報の入手は容易でしょう。
      そこからもう少し踏み込んだ情報は専門誌などから得ます。図書館などに
      足を運ぶことが多いです。

三面視・・・3Dモデルを作成するには必ず必要です。パネルラインが描かれているものが
      理想的です。輪切りの断面があれば最良です。側面図面がなければ遠距離から
      ズーム撮影された写真で代用します。プラモデルのデカール位置を示した平面
      や側面図も代用できますが、縦横比を変えている場合があるので注意が必要
      です。

コクピット写真・・・3Dコクピットを作成する時の情報源です。解像度の高い画像を探し
      ましょう。同じ機名でも製造時期によって装備が異なる場合があるのでよく
      調べて作成しましょう。マニアックな人が多い世界なので。

透視図・・・機体内の構造がわかる解説図などあると燃料タンクの位置がよく分かります。

飛行特性について語られた文面・・・スペックだけでは実機の操縦感覚やクセは判りません
      のでインプレッション記事やパイロットの経験談を参考に味付けします。

離着陸時の動画・・・機体形状を様々な角度から見る他に、離着陸時の機体姿勢(迎え角)
      やランディングギアの格納時間を調べるなど多くの情報を得られます。

インターネットで得られる情報は多いですが、使えるものはそれほど多くないです。
なので私は本屋や図書館によく足を運びます。情報は足で稼ぐとはよく言ったものです。

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